2017年11月12日

石橋正孝さんが第61回群像新人評論賞を受賞されました

会誌編集長にして前会長の石橋正孝さんが、この度第61回群像新人評論賞を受賞されました。

当選作「なぜシャーロック・ホームズは「永遠」なのか ーコンテンツツーリズム論序説」

『群像』12月号(発売中)に全文掲載されています。ぜひご一読ください。

個人的な感想ですが、これまで「『作者』が何を、いかに書いたのか」、ということが批評の伝統的な視点=ドグマであり、それが「作品」の神格化と同調してきたのだとしたら、「『読者』が何を、いかに読むのか」を正面から取り上げたこの論考はやはり画期的なものだと思います。

そしてそれにより、書かれたものが「コンテンツ」として消費されていく中で、「キャラクター」が神格化され、二次創作が引き起こされていくという指摘は、まさに我々の現在で起こっている文学現象の中心的な問題ではないでしょうか。

今後のご活躍にも期待しております。
posted by sansin at 12:16| Comment(0) | 会員の動向 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

会員の新刊・既刊まとめ

新刊も出ていますので、インスクリプト『ジュール・ヴェルヌ〈驚異の旅〉コレクション』以外で今年出版された、会員の方関連の出版をまとめておきます。

ジュール・ヴェルヌ『レのシャープ君とミのフラットさん』 大学書林(新島進訳・6月発売)

http://www.daigakusyorin.co.jp/book/b288138.html

小野耕世『長編マンガの先駆者たち 田河水泡から手塚治虫まで』 岩波書店(5月発売)

https://www.iwanami.co.jp/book/b287027.html

【新刊】大西巨人『歴史の総合者として 大西巨人未刊行批評集成』 幻戯書房(石橋正孝共編・11月8日発売)

http://genkishobo.exblog.jp/25845931/

【新刊】ジャン=ノエル・ミサ、パスカル・ヌーヴェル 編『ドーピングの哲学--タブー視からの脱却』 新曜社(橋本一径訳・10月31日発売)

http://www.shin-yo-sha.co.jp/mokuroku/books/978-4-7885-1546-8.htm

フィルムアート社編『エドワード・ヤン 再考/再見』(橋本一径「エドワード・ヤンの映画にとって「写真」とは何か」所収・8月発売)

http://filmart.co.jp/books/filmmaker/edward-yang/

posted by sansin at 09:59| Comment(0) | 会員の動向 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年11月06日

「蒸気で動く家」感想

「蒸気で動く家」読後の感想
 全体の大まかな筋書きから言えば、インドの歴史小説そのものですね。それと、ヴェルヌの視点から見た社会風刺小説。インドの歴史描写から始まって、いきなり蒸気機関の象の出現に驚かされました。
 細部にわたってインドとイギリスの争い。残酷なシーンのなかで強烈な印象を残したのは、「大尉閣下、私を縛りつける必要はありません。逃げたいだなんて、思っていませんから。」の言葉でしょうか。
 互いに命を奪いあう戦争を避けたい、と主張するインドの若者たち。それでも殺されていったというのですから、史実の持つ恐ろしさが伝わってきました。

 インドの歴史描写のなかに、ティプー・スルタンの名前を見て関心をそそられました。20代の頃だったか、(福音館書店)「神秘の島」上下を読んだ時、ネモ船長の設定がティプ・サーヒプ。のちに諫早市立図書館で調べたら、ティプー・スルタンと同一人物だと分かりましたが、詳細がつかめていませんでした。
 インターネットはまだ無かった時代でしたから、本の情報は出版図書目録を取り寄せていました。たまたま(晶文社)「インド最後の王〜ティプー・スルタンの生涯」(渡辺建夫 著)で詳細がつかめました。

この本はのちにヴェルヌ書店に、お勧めの本として推薦しましたことが思い出されます。
ティプー・スルタンについて雑学程度に知っていたせいか、「蒸気で動く家」に入りやすかったですね。
この「蒸気で動く家」はもうひとつの「八十日間世界一周」として紹介されていましたが、私にはネモ船長設定の裏を見る小説に思えました。
ここまでヴェルヌ作品を読むと、彼の作品は只者ではない。深い作品もあるんだな、と感じ入っています。
posted by Cyrus Harding42 at 18:22| Comment(0) | 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする