2016年10月06日

お知らせ等

一か月以上前のことになりますが、現代フランス文学を代表する作家の一人であるミシェル・ビュトールが亡くなりました。八十九歳でした。時折入ってくる近況から窺い知る限り、まだまだお元気で、九十歳を祝う新刊予告も出ていましたので、不意を衝かれた思いでした。ビュトールが「ジュール・ヴェルヌのいくつかの作品を通してみた至高点と黄金時代」を書いたのは一九四九年、まだ作家としてデビューする前の弱冠二十三歳の若者だったわけですが、ヴェルヌのイメージを一新し、その再評価を呼び起こした決定的な評論でした。僕自身、その翻訳を読んだことがきっかけとなって、十代で『時間割』を読んだのですが、その時の衝撃はいまだに忘れません。小説とはこのように書くこともできるのか、と。その後のビュトールは翻訳困難な作品、しかも大作をシリーズで矢継ぎ早に書いていったため、日本では全貌がまったくつかめなくなってしまったのは残念でした(そのせいか、これほどの大作家でありながら訃報もほとんど出ませんでした)。フランスのヴェルヌ協会は、シモーヌ・ヴィエルヌに続き、今年は名誉会員をこれで二人失うことになり、その喪失感はただなりません。ビュトールの遺した巨大な業績を、及ばずながら今後も追いかけていきたいと思っています。

このような話題の後に持ち出すのは気が引けますが、宣伝を。ヴェルヌ研究会の会員でもある倉方健作さんとの共著が来週末に発売されます。

http://www.hakusuisha.co.jp/book/b243681.html

エッツェルは前半の主役の一人であり、ヴェルヌは影の重要人物の扱いとなっています(作家ではユゴーとゾラが主役です)。倉方さんが書かれた後半は詩壇をめぐる人間関係を追っていて、時に憎たらしいほど巧みな語り口になっています。本屋で見かけましたら、お手に取っていただけると嬉しいです。
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2015年06月24日

ネモ・ポイントの島

ヴェルヌ研究会事務局長(なのに今は日本にいない)新島です。昨年、フランスの現代作家ジャン=マリ・ブラス・ド・ロブレスが、ヴェルヌの作中人物がわんさか出てくる小説『ネモ・ポイントの島』(Jean-Marie Blas de Roblès, L'Ile du Point Nemo)を発表しました。ヴェルヌだけではなくルーセルやドイル、果てはクトゥルー神話まで、古今の文芸・映画をこれでもかとレフェランスした作品です。この小説を白水社の月刊誌『ふらんす』で紹介しましたので、ぜひお目通しください(2015年07月号「今月の原書レクチュール52 島の名・名」)!

ふらんす 2015年 07 月号 [雑誌] -
ふらんす 2015年 07 月号 [雑誌] -
posted by Niijima at 01:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 会員の動向 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年12月02日

シンポジウム「声と文学」

大変ご無沙汰して申し訳ありません。会長の石橋正孝です。最近は物理的にはそれほど忙しくないのに、一つのことをやっていると他のことに頭が回りづらい状態になっており、毎週金曜日に故大西巨人氏の蔵書整理を一日がかりでやったり(このことでも書きたいことは若干あり)、久しぶりにミシェル・ビュトール論を書きたいと思って色々と関係書を読み漁ってネタを仕入れたりしていると、全然ヴェルヌのための時間が残らないという……こんなことではいけない、ということで、とりあえずせめてイヴェントの情報提供だけでも。本会事務局長で現在フランス滞在中の新島進さんが一時帰国され、以下の催しでヴェルヌに関するご発表をなさいます。会誌の読書会にも出席してくださったことのある『指紋論』の著者・橋本一径氏のご発表もあります。なかなか長丁場で大変ですが、興味深い一日になるはずです。関東近郊にお住まいでお時間のある方は是非。

http://www.l.u-tokyo.ac.jp/futsubun/news/2014/11/28/
posted by ishibashi at 22:34| Comment(0) | 会員の動向 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする