2017年07月08日

『レのシャープ君とミのフラットさん』読後の感想

『レのシャープ君とミのフラットさん』(大学書林)
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 妙なタイトルに惹かれて読んだ後、いままでのヴェルヌ作品と趣きを異にした印象を受けました。
 なんだか詩情溢れるコント…、音楽用語に疎い私には、物語に入り辛いけれども…、こんな作品も残していたんだな、と感じ入っていました。それが一味違った感じを出していて、もっとファンタジー物を読みたいと思いました。
 音楽がらみで言えば『動く人工島』もそうでしたね。音楽演奏者の冒険物語。これで思い出したことですけれど、『動く人工島』と『少年船長の冒険』は抄訳ですよね。いつか完訳版を読んでみたいものがあります。
 
 ちょっと無理かなと思いますが、『海底二万里』愛蔵版も楽しみたいものがあります。
 幻の木版画「ボーリング作業」の追加と、インド洋での初期設定稿「ノーチラス甲板での乗務員の事故」の追加。W・J・ミラーの注釈付。すべてカラー木版画。
 これって、心の中でロマンを温めるだけにしておいた方がよさそうですね。
posted by Cyrus Harding42 at 00:01| Comment(1) | 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年03月17日

ガンクラブ三部作

『地球から月へ・月を回って・上も下もなく』 (インスクリプト)
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 ちくま文庫『詳注版 月世界旅行』(W・J・ミラー注)
 東京創元社『月世界へ行く』
 ジャストシステム『地軸変更計画』
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 上記に挙げたこの三作品。
 冒険色が強い『海底二万里』や『地底旅行』『八十日間世界一周』等と比較すると、再読する回数が少ない。この三部作が分厚い単行本で生まれ変わり、新訳で久しぶりに読む醍醐味が溜まりませんでした。まさに、コアなヴェルヌファンのための愛蔵本って感じが良いです。

 ちくま文庫は注釈付なのでヴェルヌの隠れた人物史が面白い。前回、東京創元社『月世界へ行く』を読んだのは、10年近く前だったかな。まだヴェルヌ研究会が開設される前だった。
この新訳『ガンクラブ三部作』を読んで、好奇心をそそられたのは、シラノ・ド・ベルジュラック『日月両世界旅行記』(岩波文庫の邦題)やポオ『ハンス・プファール…』の引用でしょうか。この二作品、会誌六月号と七月号。私のエッセイで取り上げていた思い出がありますから。
 ヴェルヌの時代に、おうし座のかに星雲が発見されていたなんて意外と天文学が進んでいたんですね。(P188) 
 近著で楽しみなのは、『エクトール・セルバダック』五月配本でしょうか。最初、いったいなんだろうと思っていたら内容紹介で映画「彗星に乗って」の原作なんですね。こちらのタイトルが記憶に刷り込まれていますので。八十年代だったか、レンタルビデオで「彗星に乗って」を観賞したことがありました。

 映画では戦争批判の風刺が効いていて、宇宙を漂流している間イギリスとフランス軍が和解。地球に戻ってきたら互いの政府命令に従わざるを得ないのでまた戦争を始める。ちくま文庫『詳注版 月世界旅行』(W・J・ミラー注)この注釈ではイギリス軍だけ彗星に取り残されるそうですね。

『地球から月へ・月を回って』この二作。いまでいえばハードSFの元祖なんだな、と感じ入っています。
ヴェルヌが月世界という宇宙に目を向けたのは、『日月両世界旅行記』と『ハンス・プファール…』の影響でしょうか?
さらにもうひとつ、気になるシーンがあります。
『月を回って』と『オクス博士の幻想』に共通するシーン。純粋な酸素の放出だけで、人は感情が高ぶるのでしょうか?これ、ヴェルヌ作品にはまった八十年代からずっと気になっていました。
posted by Cyrus Harding42 at 18:12| Comment(2) | 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年01月08日

2017年初雑感

「ジュール・ヴェルヌ コレクション」第一回配本、当初予定より若干遅れ、1月20日刊行予定です(アマゾンはまだ直ってないかも)。カウントダウンに入っております。


https://www.amazon.co.jp/dp/4900997447/ref=as_li_ss_tl?ie=UTF8&linkCode=sl1&tag=hondana0c-22&linkId=146f311e43503d60251896e4c7f1c70d

さて、あっという間に一週間がすぎ、2017年もめまぐるしく進んでいくことがありありと予想されたりもするのですが、正月にようやく積み上がった本を整理していたら、そういえば去年はこれも読んだ、というものが何冊かありました。

スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ「戦争は女の顔をしていない」(岩波現代文庫)

これは凄まじい本で、ぜひご一読をお勧めします。しかし、この後の「ボタン穴から見た戦争」、「チェルノブイリの祈り」、そして去年翻訳が出た「セカンドハンドの時代」と読み進めていかないといけないな、と漠然と考えていて、読み終わったという気がしていなかった。今年は続きを読まなければ。

巽孝之「盗まれた廃墟 ポール・ド・マンのアメリカ」(彩流社)

ド・マンとはいかなる人物であったか、いかなる存在であったか、そしてその影響は現在まで続いているということを少ないページ数で濃密に示している好著です。

ハイエク「隷従への道」(日経BPクラシックス)

邦訳は複数あるので、どれでもいいと思うのですが、人類は1930年代以来、全体主義に対しては未だに有効な処方箋を発見していない、ということがはっきり分かる本。

他にも、久生十蘭の短編、モーリアック「蝮の絡み合い」など、興味深いものは多かったのですが、会誌投稿の参考書として読んだので、忘れてしまっていましたね。

さあ、大河ドラマも「精霊の守り人U」も気になりますが、今年はTVを消して本を読もう・・・


追記 : 「このミス」で第2位に選ばれたり、TVで芸人が持ち上げたりして、若竹七海の「葉村晶」シリーズが急に注目を集めているようですが、できれば葉村駆け出しの頃の中公文庫「プレゼント」から読み進めて欲しいです。
文春文庫「依頼人は死んだ」「悪いうさぎ」と続いたら、光文社文庫「暗い越流」収録の短編へ進み(その前に朝日文庫「名探偵の饗宴」にも1編ありますが)、その後「さよならの手口」、最後に最新短編集「静かな炎天」を読んでほしい。紆余曲折を経て、今の葉村晶の境遇があるので・・・
でも、シリーズが進むと最初の設定などどこかに行ってしまう、というミステリあるあるもこの作者は知り尽くしているでしょうから、気にしなくてもいいのかな・・・

1月15日再追記 : 上記朝日文庫の収録作は「依頼人は死んだ」中の1編の再録でした。申し訳ありません。



posted by sansin at 09:15| Comment(1) | 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする