2018年01月20日

ヴェルヌと科学者、そして初歩的なミスについて

「コズミック☆フロント」、再放送は1月31日(水)です。ふだん、文学としてのヴェルヌにばかり注目するのですが、こうした科学史とイマジネーションの関わりの典型例としてのヴェルヌというのは、やはり興味深いもので、大変面白かったと思います。

番組に登場したコア・プロジェクトの中島善人博士は、会誌2号の『地球の中心への旅』特集に特別寄稿をいただいています(残念ながら現在は在庫切れですが・・・)。
また、パリ天文台のジャック・クロヴィジエ氏はまさに、最新12号の石橋さんの寄稿「ジュール・ヴェルヌを誤訳する」の中で、「第二の月」問題にコメントをいただいていますし、ヴェルヌ研究家のフィリップ・ド・ラ・コタルディエール氏は当会の私市保彦先生・石橋さん・新島さんの共訳による『ジュール・ヴェルヌの世紀』(東洋書林)の著者の一人であります。このように、当会にも縁のある方々が多数出演されて、なかなか感慨深い番組でした。

個人的に身を乗り出したのが、ツィオルコフスキーの映像が映ったこと。動画があるんだ、とちょっと感動しました(それにしても、NHKの取材力、映像資料の豊富さには驚かされます)。
ツィオルコフスキーについては、最近『宇宙飛行の父 ツィオルコフスキー −人類が宇宙へ行くまで』(的川泰宣著、勉誠出版)が出たばかりで、1960年代に児童向けの伝記や、SFの翻訳などで紹介されて以来の本格的な紹介本ですのでこれは必読と思われます。

さて、タイトルの「初歩的ミス」ということですが、一つはこのツィオルコフスキー本のとある書評(あえてどの新聞の誰とは言いませんが)で、ツィオルコフスキーが影響を受けたヴェルヌ作品を、1865年に発表した『月世界へ行く』だとしていることです。ご丁寧に、創元SF文庫を紹介しておりました。もちろん、創元文庫の『月世界へ行く』は『月を回って』(1870)の翻訳です。ツィオルコフスキーが影響を受けたのは、『地球から月へ』です。

まあ、欲を言えば、邦訳でご紹介いただきたいのはインスクリプトのガン・クラブ三部作完訳版な訳ですが(「コズミック・フロント」で紹介された『上も下もなく』も完訳版があるわけです)。

別に責めているわけではありません。誰にでも初歩的ミスはあるものです。ただ、ヴェルヌについての正しい知識を広めるべく、我々は努力してまいります。

グダグダ申し上げて、何が言いたいかというと、今年最初に投稿したブログで、鳥羽・伏見の戦いを新暦の1月3日に起こったかのように書いてしまったという・・・ご丁寧に、「今頃徳川慶喜が江戸へ逃げて」などと余計なことを書いたもので、言い訳のしようもありません。もちろん旧暦(天保暦)1月の出来事なのです。間違った情報を発信しまして、お詫び申し上げます。

今の暦でいうと、鳥羽・伏見の戦いは150年前の来週、27日あたりに勃発いたします。慶喜が脱出するのは月末か月初ということです。幸いというべきか、歴史ファンの目に止まるほど人に見られているブログではないので(笑)、こっそり修正することにいたします。ああ恥ずかしい。

posted by sansin at 22:11| Comment(1) | 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コズミック・フロントで貴研究会の存在を知りました。
小学生の頃読んだ偕成社版「彗星飛行」の原本の完訳をされているとの事で大変興味深く拝見しました。

記憶を頼りにネット上の写真を探して見ましたところ
<https://www.aga-search.com/writer/jules_verne/15.shtml>
にあり、「あぁ!これだ」と確信が持てました。
他にマルチノフの「宇宙船220日」も同じ頃に読んだ記憶があり、どちらも実家の本棚に眠っていると思われます。
私の記憶の中の「軍神マルスに愛されたヘクター・サーバダック大尉」が完訳版でどう活躍するのか楽しみです。
あと「空中艇アルバトロス号」、「神秘島」、「海底二万里(リーグ)」等々、懐かしく思い出されます。あと「皇帝の密使」もありましたね。

貴殿と貴研究会の御健闘を祈ります。

※私もコズミック・フロントのミスには眉を顰めております。特にロシアのスペース・シャトル「ブラン」の回に、最大の相違点である「後部姿勢制御・逆噴射エンジン」の説明が完全に逆(シャトルの方が大気圏降下中の旋回不能)になっていたのには呆れました。
※ツィオルコフスキーには「循環型軌道エレベーター(?)」の構想もあったように記憶していますが、他の誰かと勘違いしているかもしれません。
Posted by 原口 祥二朗 at 2018年01月21日 02:32
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