2017年11月06日

「蒸気で動く家」感想

「蒸気で動く家」読後の感想
 全体の大まかな筋書きから言えば、インドの歴史小説そのものですね。それと、ヴェルヌの視点から見た社会風刺小説。インドの歴史描写から始まって、いきなり蒸気機関の象の出現に驚かされました。
 細部にわたってインドとイギリスの争い。残酷なシーンのなかで強烈な印象を残したのは、「大尉閣下、私を縛りつける必要はありません。逃げたいだなんて、思っていませんから。」の言葉でしょうか。
 互いに命を奪いあう戦争を避けたい、と主張するインドの若者たち。それでも殺されていったというのですから、史実の持つ恐ろしさが伝わってきました。

 インドの歴史描写のなかに、ティプー・スルタンの名前を見て関心をそそられました。20代の頃だったか、(福音館書店)「神秘の島」上下を読んだ時、ネモ船長の設定がティプ・サーヒプ。のちに諫早市立図書館で調べたら、ティプー・スルタンと同一人物だと分かりましたが、詳細がつかめていませんでした。
 インターネットはまだ無かった時代でしたから、本の情報は出版図書目録を取り寄せていました。たまたま(晶文社)「インド最後の王〜ティプー・スルタンの生涯」(渡辺建夫 著)で詳細がつかめました。

この本はのちにヴェルヌ書店に、お勧めの本として推薦しましたことが思い出されます。
ティプー・スルタンについて雑学程度に知っていたせいか、「蒸気で動く家」に入りやすかったですね。
この「蒸気で動く家」はもうひとつの「八十日間世界一周」として紹介されていましたが、私にはネモ船長設定の裏を見る小説に思えました。
ここまでヴェルヌ作品を読むと、彼の作品は只者ではない。深い作品もあるんだな、と感じ入っています。
posted by Cyrus Harding42 at 18:22| Comment(0) | 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする