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一冊の本で通して読む、という、しかも豊富な挿絵と注釈で読んでいくというのは、やはり読書の快楽というものです。しかも今回は、世界でも訳されたことのない、第三作「上を下への」の「補遺」が付いています。バービケインたちが大砲を使って何をしようとしたか、力学的に解説したこの部分は、「上を下への」原案者パドゥローの手になるものだそうですが、早くから私立文系に進むことを決め、数学は高一くらいで放棄した私などには、数式だらけで全くわからない(笑)。
それでも、砲弾はどっちの方向に飛ぶか、など、物語の内容にもほとんど関係のないナンセンスぶりで、〈驚異の旅〉の奇想もここに極まった感がある必読のテクストです。「文学」がこれを面白がるには、ボルヘスやナボコフでもまだ足りず、レムやピンチョンを待たなければならなかった。〈驚異の旅〉黎明の経緯と初期作品を貫く世界観を詳細に説いた石橋さんの解説とともに、このコレクションに不朽の価値を与えています。
通して読む、といえば、2012年発売時にも話題になった、新井書院の『モンテ・クリスト伯爵』全1巻を読んでいる最中です(もちろん、次の〇〇のため)。最近はマンガにもなっている本作ですが、今でいうページ・ターナーの元祖大デュマの傑作、このくらいは小説で読みたい。今、岩波文庫版で言えば第3巻のあたりで、いよいよこれから壮大な復讐の開始です。物語の終わりまで本のページがなくなることを気にしなくていい、というのはいいものです。あとは時計を気にしなければいけないのが、悲しいのですが。・・・